「老後の備え」って何ですのん?アリからキリギリスになり天に召された先輩の話

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少し前の話になるのですが、私を可愛がってくれていた先輩が他界いたしました。
彼の命を奪った病名は肝硬変。以前から闘病生活を続けていたのですが享年58歳と言う『超・飛び級』な若さでこの世から卒業したことになりました。
会社や年齢こそ違うものの昔から大変お世話になっていた私が非常に落ち込んだことは言うまでもないのですが、彼と私は全くもって性格が逆でして彼の生きざまを考えると「本当に幸せだったんだろうか」と感がさせられるものが多く、今回ちょっと記事にしてみました。
いつもの記事内容とは少し雰囲気が違う印象を受けるかもしれないので、興味のない方はスルーしてくださいね。






彼とは海外のとある日本料理屋でしりあったのですが、私と同じ会社員として海外を飛び回る仕事に従事していたこともありウマが合い自然と連絡を取り合う仲になっていったのですが、冒頭で述べたようにチャランポランな性格の私に反して彼は超マジメな性格。
海外を飛び回っても彼の出費は、食事と少々のお酒程度、まさに『アリとキリギリス』のような2人。

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毎晩のように夜遊びに興じていた私も彼からよく忠告を受けていたもので、その時の言葉はこうでした。

『そんなに遊びほうけずに将来のために節約し金を貯めておかないと、大変な老後を過ごすようになるぞ!』

ごもっともな忠告でその通りだと思っていましたが、私がそんな忠告に耳を傾けるわけがありません、なんてたってチャランポランなのですから。

その後も彼と連絡をとり夕食までは一緒にするのですが、その後は別行動で彼はホテルへ戻り一方で私はネオン街に繰り出すというパターン。
確かに彼の会社では出張手当や滞在手当てが私よりも少なく余裕がなかったのかもしれませんが、遊ぶ人は遊ぶんでしょうし性格から来る彼の行動だと考えていました。

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そんなある日、彼は私にこう問いかけてきたのでした。

「オマエ、貯金どのくらいあるんだ?」

お互い日本に持ち家があり家族構成も似ている私たち、違うと言えば私のほうは日本では車やバイクに興じ、海外では夜遊びを堪能していることくらい。
会社員としての収入は、私の方が彼よりも断然多いことはお互い知っていたのですが、なんでこんなことを聞いてくるのだろう・・・。
そんなコトに頭を巡らせ返事が遅れた私に対し、彼はこう付け加えたのです。

「オレは今年で貯金が〇億円になったぞ、投資や副業しなくても節約していれば安月給でもここまでできるんだ♪」

彼の貯めた額面を聞いた瞬間は“凄いなぁ”と感じたものの、微塵も“羨ましい”とは感じなかったチャランポランな私。
彼は、そのお金で老後に嫁と山奥でひっそり暮らすのが「人生の目標」だったようで、その夢のために必要な資金をほぼ調達したということらしいのです。






その時、初めて彼の「人生の目標」を聞かされた私なのですが、やはり共感はできませんでした。
私がそう感じた理由は、

“何が起きるか保証のない未来のために苦労だけ重ねて、現在を犠牲にして何が楽しいのだろう?”

でした。一方で、私はどちらかと言うと、

『今できる目いっぱいの“楽しみ”や“贅沢”を堪能し、それらが維持できるように切磋琢磨する。』

という典型的な金銭感覚が薄いチャランポランなタイプ、こういう私ですので彼には到底賛同できなかったのです。
確かに徐々に貯金が増えるのは、それはそれで楽しいかもしれませんが、何もそこまでして自分を犠牲にして金に固執する必要があったのでしょうか。

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ある程度「人生の目標」にメドが立ったのでしょう彼は、私の夜遊びに付き合うようになります。
老後の生活資金の目標金額を調達し、金を貯めるノルマから解き放たれた彼は私が驚くほど夜遊びに興じ始めたのです。アリがキリギリスになったように。。。

“実は夜遊び好きだったんだなぁ。よく長年我慢してあそこまで金を貯め続けたものだ・・・。”

彼の本性を知り改めて精神力の強靭さに感心した私は、彼の“失われた年月”を取り戻すかのような享楽に付き合っていたのでした。

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しかし、そんな楽しいことは長くは続かないのが世の常。
夜遊びが災いし浮気に発展。それが嫁にバレ彼は離婚することになったのです。
最近の夜遊びで若干目減りし始めた彼の貯めこんでいた老後資金でしたが、この離婚と言う事件で半分になったのでした。
今思えば、この時点で彼の人生は既に「第3コーナー」を回っていたんだと思います。





ほどなく彼は、遅咲きで始めた夜遊びがたたってか肝臓を患い入院し、会社生活でも海外を出歩く立場から退くことに。
それがきっかけで、海の向こうから彼を待っていた(であろう)浮気相手(新しい恋人)からも見放され孤独な病院生活を強いられるようになったのです。
加えて、貯金のほうに重点をおき割いていた彼の資金繰りは、生命保険の保障内容も入院費を賄うには十分ではなかったようです。
有給休暇も使い果たし欠勤扱いとなり始めた入院生活、サラリーマン最大の武器である安定的な給与収入の恩恵にもあやかれなくなっていったのでした。

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日本に居る間には彼の見舞いに何度か足を運んでいましたが、浮腫んでしまい黄疸によって土色になった顔や膨張した腹回りは、以前の色白でスリムだった彼の外見とは別モノだったことに目を伏せていたものでした。
同時に、口には出さないまでも心の中では、

“先輩は、もう昔のような生活には戻れないだろうなぁ。これもこれで人生なのかなぁ・・・。”

と感じざるを得ませんでした。

そして、彼のお母さんから訃報の連絡を受けるまでは、そう長い月日はかかりませんでした。
後にお母さんから聞いたのですが、病床の彼はよくこう呟いていたそうです。

“母さんより先に逝くことになると申し訳ないが、産んでくれてありがとう。いい人生だった。”

涙を浮かべ遠くに視線を置きながらこう話してくれたお母さんでしたが、目頭は熱くなったものの彼の言葉に私はやはり共感はできませんでした。

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現在では、平均寿命も80歳を超える日本人男性。
統計的に言えば彼はまだ22年ほどこの世に居るはずなのに、こんなに早く人生を卒業して本当に幸せだったのでしょうか。

彼の長年の目標であった老後に嫁と山奥で暮らすこと。。。決して実現不可能な夢ではないと思いますし、ほぼ手中に収めていた彼。
とは言うものの、そんなちっぽけな夢も自らの愚行で実現できないような事態になるなんて。

『遅咲きは、狂い咲き』

彼はちょっと派手に咲かせすぎちゃたんでしょう。
彼は目標額を確保した時点で、会社を辞め嫁と山奥に移住しておけば全く違った人生展開になっていたのだと思います。
彼は、早々に自分の目標達成を成し遂げ、新たな目標を立てることなく時間を持て余し路頭に迷うように「遅咲き」の道に走ってしまったのでしょう。


「アリ」は、どう転んでも「キリギリス」にはなれませんし、その反対もないですよね。
自分の持っているDNAを十分理解した上で目標を立て時間軸を意識しながら暮らしていかないと、ロクな人生の終わりを迎えることができないんだなぁ、と彼は私に教えてくれたのでしょう。

いつ身に降りかかってくるかわからない人生の終わりの瞬間。きっと何の後悔もなしに、にその時を迎えることはないと思っています。
が、その後悔を日々の言動や判断で減らせることはできるんだと私は信じていますし、それは私にとっては

「今できるコトや今楽しめるコトは、今やっておくべし」

というフレーズですかねぇ。

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ちなみに私の人生の目標は、

『家族は日本に残し、フィリピンかタイあたりの海辺に一軒家でのんびり暮らすこと』

です。
金銭的には難しくない目標ですが、実現するには思っているよりハードルが高いかもしれません。
私にとって夜遊びは、その際の現地パートナー候補を物色するためと言う目標達成の一環なのかもしれませんねぇ。
ここが目標を失いかけ夜遊びしていた彼と私の相違点だったのかもしれません、私にとって夜遊びは人生の目標達成の一手段なのです(←私って、どこまで能天気な発想の持ち主なのでしょうか)。






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この記事へのコメント

  • ポンコツ係長

    自分のこれからを考えさせられる、とてもありがたい記事でした。

    私は世界を徘徊するおじさんさんと今回の先輩の折衷案でいいかなぁと思います(笑)

    世界を徘徊するおじさんさんのように、ヤンチャができる性格羨ましいです。
    キリギリスのようなヤンチャができるのも才能だと思います(笑)
    2018年11月08日 10:49
  • かる

    ポンコツ係長さま

    いつも応援ありがとうございます。
    あんな偉大な先輩のおかげで今の私があるのかもしれないと最近思い始めておりますねぇ。
    なんせ私とは全く逆な性格でしたし、海外で滞在するうえで生活パターンというか考え方が全くかみ合わないお方でした。
    彼が遅くして夜遊びを始めたのも運命でしょうし、若くして人生の幕が下ったのもそうだと思います。
    長生きすることが全てとは言えませんが、納得のいくような最後を迎えたいものです。
    体が動くうちに金を使ったほうが私には向いています、身動き取れないのに金だけあるって、ある意味で地獄なんだと思うタイプですし。
    個人的には自分はヤンチャではないと確信しているのですが、やはり他の方からみれば結構遊びまわっているような印象を受けるのでしょうか(笑)。
    2018年11月08日 15:16
  • alfa

    前にも書きましたが40代半ばで会社を倒産させてしまい、すべて会社につぎ込んでしまいました。今になって思うのは、こっそりと海外資産は残して置けばよかったかなと後悔していますが後の祭り。それ以降は、なるようにしかならないとケセラセラ人生を歩んでいます。父母看護のため50歳で仕事を卒業、この5年で家一軒とアルファロメオ1台それと10年間の生活費は捻出できる仕事につけたのはラッキーでした。
    かるさんのお友達の様に年金ももらわず死んでいった経営者仲間が数人いるのでカットは承知の上で60歳から年金生活、悩みの種はこの6年間のタイの物価高と円バーツレートですね。
    飲む打つ買うのちゃらんぽらん人生はタイに来るまで続いていました。今はほぼ飲まない、打つこともないし、買いもしない、楽しみは車と夜の女性以外を口説く事かな。
    もう直ぐロイカトーン、昨日新たに27歳の子とコムローイ揚げデートの約束にこぎつけました。片言タイ語・英語でくどくだいご味がたまりませ~ん。日本じゃこんなこと絶対できませ~ん。
    2018年11月09日 00:57
  • かる

    alfaさま

    改めて波乱万丈な経験に驚かされております。
    更に驚かせるのは、何と言ってもそんな状況下でアルファロメオを維持できることですよねぇ。
    ケセラセラ人生、なんと良い響きでしょう!
    と言っても、私はケセラセラ世代とは少し違うのですが(苦笑)。
    そうですねぇ、ロイカートンの季節がやってきましたね、是非とも大きなコムローイを一緒に放ってくださいね!決してコンドームを打ち上げないように(笑)。
    私ももっぱらalfaさんのように口説く醍醐味に魅了されております。
    ご武運お祈り申し上げまする。
    2018年11月09日 07:45
  • toritori

    自身も30歳で離婚し、41歳で生死を彷徨い何とか仕事に復帰するも完全に人生の目標を失い仕事そのものも投げたしそうになりました。47歳の時に今の家内にプロポーズされ紆余曲折を経て一女を設けて現在4歳の子持ちとなりました。家内は中国人で大学の卒業と同時に結婚したので年齢差25歳で他人は羨ましいと言いますが縁が結んだ以外の何物でもなく自身に感慨は全くありません。海外への渡航は公私共に減りましが正直言うと日本の中だけでは息が詰まりそうになります。

    真面目に計画的に生きても一寸先は闇で未来への投資に全てをかけても人生は必ずしも計画的にはいかぬと思っています。唯一、娘に対しては責任はあると考えていますが、経済的にも夫婦相応の責任を果たせば良いと考えています。言い方は失礼になるかもしれませんが、遅咲きの狂い咲きは惨めに思えてなりません。かるさん同様に彼の生き方に賛同はしかねます。何事も「いい加減」が転じて「良い加減」が必要では自身は思っています。

    皮肉ではないですが山奥に隠居したかったのは彼であって奥さんではなかった気がします。離婚を経験しているから身からすれば彼はどんな幻想で完結したのだろうかと冷徹に見てしまいます…
    2018年11月11日 23:08
  • かる

    toritoriさま

    そうなんですよねぇ、もし彼と同じ状況にあったら私がどんな決断をくだしているかはわかりませんし、私が認識していた彼の環境もごく一部なんだと思います。
    彼の(元)嫁が田舎暮らしを望んでいたか。。。これは夫婦生活を継続するうえで大きなポイントだったのかもしれませんねぇ。
    人それぞれ置かれている状況が違うわけですから、限られた情報だけで他の方をどうのこうの語れるものでもありませんしね。
    いろんな判断を経て現在の自分があるわけですし、私もそれを他責にしようとは思いません。
    ただ確かに生まれてくることの選択肢を持たないわが子にに対してはtoritoriさんと全く同じ意見で、子供にたいしては無責任なことはしたくないと考えています。
    しかしtoritoriさんも周囲に同じ経験された方が少ない半生を送られてこられたのですね、プライベートの一部を明かしていただいて改めて経験豊富な方なんだと再認識いたしました。
    真面目に生きても人生は一寸先は闇。。。私にとっても考え深いフレーズです、私も「良い加減」で行きたいと思います。
    長々と失礼いたしました。
    2018年11月12日 07:51
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